二番茶

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然る放浪者の夜話 #4 主名(1)

然る放浪者の夜話 #4-1 主名

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然る放浪者の夜話 #4-7 主名

 

Web漫画「然る放浪者の夜話」の第4話パート1。

 

ラティフ商会に殴り込むアリ

 

感情を汲み取れない据わった目、威圧感のある体格。

のしのしと荒野を歩く姿は狩りか戦に向かうかのようだ。

まさか、このアリ老人が荒野で暮らす娘と孫に会いに来たとは誰も思わないだろう。

 

「おじいちゃん!」

 

家から孫のダリラが勢いよく飛び出してくる。

 

「また背が伸びたな、ダリラ。変わりないか、イゼル。」

 

「ええ、久しぶりね。父さん。」

 

——— 夕食時

 

アリは部屋に高く積まれた織物に目をやる。

 

「随分と織物が溜まったな。」

 

「売りに行きたいんだけど家を空けるわけにはいかないし・・・。」

 

「明日、街に持って行こう。」

 

街と聞いてダリラの目が輝く。

 

「街に行くの!?ダリラも行く!」

 

「おいおい、街まで半日以上かかるぞ。」

 

「よかったらダリラも連れて行ってもらえないかしら。あの人がいなくなってから出かけなくなったし・・・ダリラには良い勉強になるわ」

 

俯く娘をみてアリは眉に小さく皺を寄せながら、はしゃぐ孫を宥める。

 

「・・・そうか。ダリラ、夜明け前に出発するから今日は早く寝なさい。」

 

「やったぁ!」

 

——— 市場

 

今朝まで風の音しか聞こえない荒野にいたせいか、市場の騒めきは一層大きく聞こえる。耳が痛いほどだ。

ダリラは物珍しさに浮き足立ち、商談をしているアリから離れて露天をうろうろしている。

 

「ふむ・・・良い出来だ。イゼルの織物にはファンが多いからね。少し色をつけておくよ。」

 

「助かる。」

 

「お嬢ちゃんもお母さんにしっかり教わって良い織り手になるんだよ。・・・あれ?どこ行った?」

 

「!ダリラ!どこだ!」

 

ダリラを探して市場の人をかき分けるアリ。

しかしダリラが見つからないまま市場を抜けて裏手にある大きな屋敷にたどり着いた。

 

屋敷の向かいに座り込んでいる物乞いがアリの問いに力なく応える。

 

「ああ、その子なら・・・屋敷に連れて行かれたよ。」

 

「・・・!ラティフ商会・・・」

 

「子供を攫われたのか?気の毒だが諦めた方がいい・・・。ひとつまみの胡椒から奴隷までラティフ商会の品に手を出したら地獄の果てまで追い回される。

 

「・・・ああ、よく知っている」

 

アリは真っ直ぐ屋敷に向かった。

 

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