然る放浪者の夜話 #2 貧困(3)
Web漫画「然る放浪者の夜話」の第2話パート3です。
前回からまた間が空いてしまいました・・・。
猛省。
貧困を捕らえろ!
「よく無気力な町人どもを焚きつけたな。驚いたぞ。」
今にも襲い掛からんとする町人に取り囲まれた悪霊“貧困”であったが、特に狼狽る様子もない。
ロナは白い火影が揺らめく小さな洋燈を掲げて町人たちを先導する。
「悪霊は清めた火で焼き祓わない限り何度でも復活するわ。」
「何回も使える秘術じゃないから外さないように悪霊を抑えて頂戴。」
町人たちは一斉に“貧困”へ襲いかかる。
「悪霊にこんなものが通じるのか」と町人たちは半信半疑だったが、振り下ろした角材が“貧困”の頭部を激しく打ち付けると一気に弾みがついた。
「!!」
「・・・素早いが力は弱いぞ!全員でかかれば捕まえられる!」
ほどなくして“貧困”はあっけなく捕らえられてしまった。
ロナは“貧困”に近づき悪霊祓いの支度を始める。
「悪霊だものね・世辞の言葉は聞かないわよ。」
押さえつけられた“貧困”は相変わらず落ち着いた様子でロナを見上げて口を開いた。
「そうして火を抱えて人を率いる姿はアフラを彷彿とさせる。」
「・・・だがアフラほどの器ではない。」
言い終わるや否や、“貧困”はけたたましい叫び声を上げた。
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